日本語化への挑戦 |
…とはいってみたものの、
アメリカで生活する上で、「日本語で書かれた情報」が果たして必要か?
とゆうと、実はほとんど必要じゃなかったりするんですねえ。
でもやっぱり、日本語が使えると「日本人の友人が送ってきたメールが持ち運べる」
ようになるわけで、それはそれで便利なんですけど。
ああ、あとはIRC(チャット)だねえ。これだけできればいいとも。
「なんで日本のザウルスを使わないの?」とよくco-workerに言われるんですが、 「英語が使いにくいんだもの」と答えてます。 実際、アドレス帳なんかは日本の住所に最適化されているので、 アメリカの住所には使いにくいのね。 フォントも等幅で読みにくいし。
そんなわけで、PIMとしてはPalm m100(英語版)が実用的ですね。
で、2バイト文字を表示するには、unifontとよばれる、
Unicode用のフォントを入れてやればよいのです。
「単純にフォントを入れればいいという話でもないようだ」と前に書いたんですが、
単純に入れればなんとかなるようです。
実際には、
まず、1つめ。unifontは、「Qt/Embedded Free Edition」に入っています。
Trolltechからtar ballをダウンロードして、
展開するだけで、「lib/fonts」の中に入っています。
その中で必要なのは「unifont_160_50_t10.qpf」とゆうファイルです。
これをSL-5000Dの「/home/QtPalmtop/lib/fonts」に入れてやればよいだけです。
ファイルサイズは1.3MB程度とやや大きいので、
内部ストレージエリアの空き容量が足りなければ、
CFかSD/MMCに入れて、シンボリックリンクをする、という手もあります。
ちなみに、このunifont、日本語だけではなく、
中国語、韓国語、アラビア語なんかも含んでいるので、
このファイルが1つあれば、他の言語に対応することも簡単です。
実はこのディレクトリにある「fontdir」とゆうファイルには、 「unifont.bdf」とゆう記述があり、このフォントが必要なのだとばかり思っていました。 ところが、どうやらSL-5000DではこのBDF形式のフォントはデフォルトでは使えないようになっている様子です(Qtopiaの再コンパイルが必要っぽい)。 QPF形式のフォントは、記述しなくても勝手にロードするようです。続いて、2つ目と3つ目、「言語切り替えアプリ」および「言語セット」は、 すでにコンパイルされた物が出回っている(もともとはiPaq用)ので、 単純にそれをインストールするだけです。 こちらはサイズは小さいので、内蔵メモリに簡単に展開できます。
ここまでできたら、言語設定アプリを走らせてみます。
(Snapshot Appletがリリースされたので、今回からはデジカメ画像ではありません。)
はい、しっかりと「日本語」と日本語で出ていますね。
ここで「日本語」を選んで、「OK」を押します。
Qtopiaが再起動がかかるので、しばらく待つと、
この通り、日本語でメニューが表示されるようになりました!
ここでは「アプリケーション」と「MPEGプレーヤ」しか日本語になってませんが、
Qtopiaのバージョン違いによるものだと思います。
ところで、「Voice Recoder」が画面に見えますが、これは新しいROMイメージ
Ver.1.10/1.11(SL-5500用ベータらしい)から搭載された新アプリです。
ROMアップデートによる変更点についてはまた別の機会に。
では、本当に日本語が使えるのか、見てみましょう。
まず、テキストエディタを使って、日本語で書かれた文章を読ませてみます。
ごらんの通り、本当に日本語が出ています。壮観です。感無量です。 これで、日本語ファイルが持ち運べるようになりました!
と、安心するのはまだ早いのです。とゆうのも、先に書いたとおり、 QtopiaはUnicodeをサポートしています。逆に言えば、Unicodeの文章ではないと、 ちゃんと表示してくれないわけです。 Windowsで標準の Windows2000のメモ帳で書いた文章は、デフォルトではUnicodeで保存されるので、 使い回しが効くかな、という気にもさせられます。 しかし、筆者のお気に入りはWZ Editorであり、 標準はShift JISになっているので、やっぱり、 変換してからじゃないと持ち運べないのです。
では、他のアプリも見てみましょう。
アドレス帳です。新規入力しているところです。 日本語の入力には、「Unicode Pad」を使います。文字を探してタップする、 という非常に骨の折れる作業が必要です。 漢字の入力はまず不可能といえるでしょう。
これを保存して、一覧を見てみます。
残念ながら、日本語は豆腐(四角い箱)になってます。
おそらく、ここはUnifontを使う設定になっていないからだと思います。
こういう現象は他のアプリでも見られます。
PIMデータはしっかりUnicodeで保存されているので、
単純にアプリ側で使うフォントだけの問題なのですが。
ソースレベルで改造してやればいいんでしょうけど。
さて、次はこの日本語化の弊害をちょっと見てみましょう。
こちら、世界時計の画面ですが、都市名がボタンからはみ出しています。
これはSL-5000D標準の英語フォントが8ptなのに対して、
Unifontが16pt(8ptの4倍角)だから起こる弊害です。
もともと8ptのフォント向けに設計してあるため、大きなフォントにすると、
デザインが狂ってしまうわけです。
同様に、
バージョン情報も画面からはみ出してしまっています。
ああ、これを見ると、ちゃんとSL-5000Dの実機だということがわかりますね。
また、この日本語表示環境はメモリをかなり食うようです。 システム情報を比較してみますと、
というように、英語版に比べて、メモリが3MB以上余分に消費されています。
おかげで、Freeエリアが少なくなるため、アプリケーションが立ち上がらなくなったりします。特にImage Viewerには致命的です。
そうそう、ROM Version 1.11では、ワークメモリの割り当てが従来の16MBから
24MBに拡張されているのです。
代わりに、ストレージエリアが16MBから8MBに減ってますが。
まず、日本語が表示できるように、 それぞれのアプリケーションを改造する必要があります。 ソースコードが公開されているので、個人でできることではありますが、 かなり上級者向きと言えるでしょう。
次に、日本語入力環境の問題です。
現在、日本語手書き入力はもちろん、インライン変換はおろか、
仮名漢字変換すらできません。Unicode Padを使って、
1文字ずつ拾って入力するのでは日が暮れてしまいます。
現実的にはQtopia向けの日本語IMは出ていないようなので、
これを移植するところから始めないといけません。
メモリに関しては、、コンスーマー版SL-5500では64MBに増量されるため、
そちらでは日本語フォントを入れても十分にワークエリア、
ストレージエリアともに確保できるものと思われます。
しかし、現行SL-5000Dではちょっと辛い物があります。
Unifontを作り替えて、8ptのフォントを作るとか、韓国語やアラビア語を削って、
日本語だけにするとかすれば、メモリの負担も小さくなるかも知れません。